2018年3月27日火曜日

K.Country H.C-500


K.COUNTRY H.C-500

  春日楽器によるハンドクラフテドシリーズ。ピックガードは革製。入手時には「ピックガードはオリジナルではない」との事でしたが、ネット上に同様のピックガードを付けた個体を見かけたことがあるのでオリジナルの可能性があります。トップは単板のスプルース、サイドバックはローズ合板とのこと。現在では合板ギターは廉価ギターの代名詞のように言われていますが、当時の良質な合板ギターは想像以上の音を奏でるものがあります。今回はこのギターのリペアに取り組みます。


 ブリッジはサドル高確保のため、薄く削り取られています。サドルの厚さ、幅ともにあっていない様子が見られます。ブリッジの作り替えも検討されます。サドルはおそらく牛骨、ブリッジピンは樹脂製のようです。
 革製のピックガードです。しっかりと固定されており、簡単にはがれてくる様子はありません。細かな掘り込みがされています。銀面の大半がはがれていますが、このギターのたどってきた歴史を垣間見ることができるものとして、このまま使用する方向でリペアを行います。
トップ板には細かなスクラッチがありますが、致命的なものはありません。特別大きな作業を行う予定はありませんが、タッチアップ程度の作業予定です。
バック側の写真です。柾目の板が使われています。
向かって右側に凹みがあります。塗装割れから木部に達しています。合板であることが幸いだったのか、致命的な割れにはつながっていません。単板であれば激しく割れていた可能性があります。
ギターヘッド部です。廉価なシリーズと同様なプリントものです。音には関係ありませんが、きれいに残っているのは嬉しいです。ナットはおそらくオリジナルの牛骨製。比較的まっとうなつくりではないでしょうか。チューニング時に初心者でも十分に弦を押さえられる弦高です。以前の所有者が簡単な調整を行った可能性もあります。
ペグはRoyceのグローバータイプ。ヘッド裏にも打痕があります。
ブリッジを横位置から。薄く削られている様子がわかります。トップ板のタッピングの結果、おそらくトップ板のブレーシングがはがれている箇所があると思われます。
サイドからの写真。バックが緩やかに湾曲した設計になっています。
ネックはほぼストレート。
一弦側から。













1.打痕(トップ、バック、ヘッド裏)
2.ブレーシング剥がれ
3.若干のたばこ臭
などから比較的、乱雑に扱われる環境にあったことが想定されます。居酒屋、バー、喫煙者のリビングなどに置かれており、ふとした時に手に取って使われていたのではないでしょうか。現在はあまりパワーのある音ではありませんが、リペアの結果でどのような変化が現れるでしょうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿